群馬には関東地方でも特に多くの日本酒酒造会社がある、隠れた酒どころとして知られています。実際、利根川水系の地下水や平野部の交通の便の良さから長い酒造りの歴史を築き上げてきました。今回は、そのような背景を持つ群馬の日本酒酒造会社を解説し、日本酒の酒造りの流れも紹介します。
群馬の日本酒酒造会社について解説
群馬は各蔵元が昔ながらの味わいを守りながらも新しい試みを行い、時代に合わせた日本酒を生み出しています。また、個性的な酒米の選択も多く、定番の山田錦や五百万石といった銘柄から長野県の美山錦、栃木のあさひの夢、愛知の若水(わかみず)、山形の出羽燦々(でわさんさん)、青森のまっしぐらなどとにかく全国からえりすぐりの酒米を選んで日本酒の酒造に役立てているのです。特定のエリアの酒米にかたまりがちな地域の日本酒もある中、かなり特徴的といえるでしょう。ただ、地元群馬では十分な酒米が安定供給できない面もあり、一部の限定的に用いられるにとどまっています。
日本酒造りの流れについて紹介
日本酒が完成するまでには様々な工程や人の手が加わっています。まず、酒米を精米していきます。この精米の程度の時点で酒造りは大きく変化し、その削りの程度を精米歩合として表現されているのが特徴です。精米したら洗って水に漬け、十分な水分を吸ったところでコメを炊いていきます。コメが炊きあがったら冷やして麹をまき、発酵の準備を行うのが次の工程です。麹菌が繁殖したら、乳酸菌や蒸したコメを入れ2週間から1カ月酵母を繁殖させます。そして酵母をたるやタンクに入れて1カ月程度発酵させます。できあがったものをもろみといい圧搾し、のこったカスがいわゆる酒粕と呼ばれるものです。
日本酒造りの仕上げによって異なる味わい
瓶詰めする前に火入れをして行うものとそうでないもの、さらに火入れ後に貯蔵するもの、しないものがあります。まず、火入れは日本酒の腐敗を予防する行為です。基本的に火入れを行いますが、あえて火入れをせずに瓶詰めするものもあり、そういったものは生酒と言います。爽やかな香りが特徴ですが、日持ちしないので注意しましょう。火入れ後に多くの日本酒は酒造りの最後の仕上げとして蔵で貯蔵されます。しかし、貯蔵されずに出荷されるものもあり、それは新酒として販売されます。新酒はきりっとした味わいが特徴です。